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11月5日(火)

所属団体の月1回の会議が行われた。

閉会の後、部屋を出て帰ろうとした私を女性スタッフが追いかけてきて、廊下の隅でこっそりと語りかけようとするのである。

一瞬、
「わたし、あなたのことが好きなんです」
と告白されるのかと考えて、全身が緊張に包まれた。

女性の年齢はおよそ40代半ば、その団体の事務局で働き始めて、もう10年以上は経過している。

すっかりベテランだし、会議に出てもポイントを押さえた発言をするし、なかなか頭の回転も速そうだ。

おまけに、ちょっとした美形である。

もしそんな彼女から交際を求められたらどう返事をしたらいいものか、私の思考回路をフル回転させて、持っているボキャブラリーを総動員して、適切な言葉を懸命に模索した。

「今の家庭を失いたくない」の言葉は、取りも直さず、彼女の申入れを拒絶することになる。

さりとて、「絶対に周囲にわからないように」などとの約束は守られるはずがない。

優柔不断な私は、そもそもが素早い決断は苦手である。

ましてや、もし私の人生にかかわるような事柄について、瞬時に決めてしまうなんて無理な話だ。

こうなった以上、彼女の出方を見てみることにした。

彼女から最初に呼び止められて、次の言葉を発するまではおそらく1秒もかからなかっただろう。

その短い時間に、実に多くのことに思いを巡らせたのだ。

そんな息詰まる空気の中、いよいよ彼女の口から出てきた言葉は、
「私、今年で年賀状を出すのをやめにするつもりなのです。
 声なき声さんとはうずっとやり取りさせていただいていましたが、そういう事情ですのでご了解ください。」
とのこと。

あっけない幕切れであったかもしれないが、内心は気が楽になったものである。

年賀状の準備もそろそろしなければならない。

年末の足音が聞こえてきた。


20191105.jpg
ほんの1秒足らずとはいえ夢を見させてくれたことを喜ぶべきか
20 : 20 : 38 | 日記 | トラックバック(0) | コメント(8) | page top↑
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コメント
こんばんは♪

本当に短い時間にいろいろ考えられたんですね。
でも、残念なことに?肩透かしでした。
この時期になると「年賀状を出すのをやめましょう」
と言ってほしいと思ってしまいます。
by: きっちゃん♪ * 2019/11/05 21:37 * URL [ 編集] | page top↑
おはようございます。
 
単なる、私の早合点に過ぎませんでした。
勝手に想像を膨らませて期待をしたのが愚かでした(汗)。
 
私も、年賀状を出すのはそろそろやめにしようかなと思っていた矢先です。
今年は喪中でこちらからは送りませんでしたので、そういった意味ではいいチャンスでもあります。
目下、考え中です。
とはいえ、必要最小限のところは出さざるを得ませんが。
by: 声なき声 * 2019/11/06 04:20 * URL [ 編集] | page top↑
おはようございます
つかの間の 期待と不安の入り混じった一瞬でしたね(笑)

男性の「今の家庭を失いたくない」は、
相手を拒否する言葉では無く その範囲でお付き合いすると言う
ある意味 ずるい言葉だと思っています(^^ゞ
双方が納得して そのような関係であっても
いずれは、壊れて行く可能性の高い関係ですね(>_<)

女の人の感は 意外と鋭いですからね(笑)

年賀状ですが、今年のお正月に
「年賀状は、今年が最後になります」
このような最後通告の年賀状を受け取りました(^^ゞ

ラインやメールで繋がっているお友達は良いのですが
年賀状だけの人も居ます。
年賀状を止めると 今後そのお友達の動向が
分からなくなると言う事です。
その為だけに 携帯番号の交換をするのもどうかと思います。

数枚の為だけに年賀状を作るのも
少し億劫です。
by: ヨンヨン * 2019/11/06 05:17 * URL [ 編集] | page top↑
ヨンヨンさんへ
おはようございます。

「人間は息を引き取る前に人生で起こったことをすべて思い出す」と世間では言われています。
それは決してウソではないような気がしました。
私にしても、息をするよりも短い時間にあれこれと妄想をたくましくしたのですから。
 
「今の家庭を失いたくない」は、私は事実上、お断りの言葉だと理解しています。
両立などは現実には無理な話ですので、その言葉を男性が発した時点で、女性は見切りをつけるべきでしょう。
 
実は、当初は
「年賀状は、今年が最後になります」
のフレーズを採用しようと思っていたのですが、しかしながら、年賀状を楽しみにしている友人や、私の安否を確認している親戚の人もおりますので、全員に適用することはできないと判断しました。
70歳を超えていれば、あまり苦にすることなく使えた文言だと思いますが、私の場合はまだ早いように思うのです。
今年は、関係の薄い相手先を大胆にカットすることで対処しようと考えています。
 
記事にした彼女は、ラインで新年の挨拶をしているとのことでした。
私の友人には、なぜかSNSやメールには無関係の人が多く、それこそ年賀状をやめると生死不明の状態になりかねません(汗)。
一つの悩みどころです。
by: 声なき声 * 2019/11/06 05:34 * URL [ 編集] | page top↑
いちいち女に呼び止められるたびにラブコメみたいな空気を出せるなんて声先生はお若いですな。俺ならふざけたことぬかしたらわかってるよな、って空気を出しますよ。
まぁさておいて時代は令和、若い世代は言うに及ばずいまどき紙媒体の年賀状なんざ出すやつのほうが珍しいかと。
続いていたものを送らないとことで先方が気を悪くされるかと気をまわして先に断りをいれてくるとかなかなか律儀な話じゃありませんか。
無駄なコストはカットしていく、これはわかる、と。
by: てかと * 2019/11/06 18:06 * URL [ 編集] | page top↑
てかとさんへ
私は自分が弱い人間であることを知っています。
だからこそ、他人が見れば噴飯ものにすぎない事柄であっても、自分の中で舞い上がってしまって妄想にとらわれることがあるのです。
この年齢になったら、変わることはないでしょう。
 
年賀状を早く辞めたいものの、何かと障害もあるのです。
一番は、年賀状を楽しみにしている人がいまして、私の友人だけでも二人はそれを公言しています。
うち一人は、毎年受け取る年賀状は3枚しかないそうです。
彼にとっては生きがいのようなものですから、それを止めるわけにはいきません。
もう一つは、親戚筋は年賀状での生存確認が必要だと思っています。
やめてしまうと、「何かあったのか」と心配させてもいけませんし。
とはいえ、今年は発送する数を大胆に減らすつもりです。
そして反応を見てみようと思っています。
by: 声なき声 * 2019/11/06 18:24 * URL [ 編集] | page top↑
ビックリ!
男性はロマンチスト。
女性は現実的。

昔から言われておりますが
驚きました。

瞬時に夢を見ることが できるのは
ある意味、幸せなことかも知れません。
by: パープル * 2019/11/06 20:13 * URL [ 編集] | page top↑
パープルさんへ
自分でも自分のことをロマンチストだと思っています。
ただ、今回の件は単なる早合点にすぎませんが(汗)。
ただ、夢を見る姿勢は失ってはいけないと考えていますし、おそらく私が元気なうちは、夢見ることは続くことでしょう。
幸せものです(笑)。
by: 声なき声 * 2019/11/06 20:21 * URL [ 編集] | page top↑

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Author:声なき声

昭和27年に生まれ、平成29年に職業生活をリタイヤ。 現在、北摂のマンションに在住。   

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