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6月19日(水)

散髪をしてきた。

おそらくどこの散髪屋さんもそうだと思うのだが、髪を刈ってもらっている間は世間話をしながらというのが半ば常識になっている。

私は今まではこの慣習が苦手であって、おそらく愛想のないと思われる返事の仕方をしていたのだと思う。

だから、私にはあまり熱心に話しかけられなかったように感じる。

その散髪屋さんは、店長が父親で、息子さんと二人でやっていて、ほか店長の奥さんが手伝っている。

会話が苦痛な私だが、昨今、リアルな人間との会話の機会がとんと無くなってきたものだから、勝手なもので人恋しい思いがこみ上げてきている。

その思いが自然とあらわれたのか、今日の私は自分でも驚くぐらいに会話にのめり込んでいった。

ノリが良かったと思う。

そういうのは当然ながら相手にも伝わる。

話題が一段落したところで、店長が「最近は体力が落ちてきたんですワ」とポツリと言う。

聞いて見ると、4月に3週間ほど心臓の手術で入院していたとのこと。

心臓の弁の開閉がうまく動作しないというので、胸を全開しての大手術に踏み切ったらしい。

それはうまく行ったものの、術後の食事制限が想像を絶した過酷さであると漏らしていた。

糖尿病治療に準じた食事となったので、ほとんど味がないし、量も劇的に減らされている。

それは今後もずっと続けなければならない、というから気分が滅入ってしまうのも無理はない。

食べる楽しみは全くなくなったどころか、満腹になるまで食べることもできない。

その上、医師からは積極的に歩くことをリハビリとして求められている。

余計におなかがすくのは避けられない。

もっとも、筋力が落ちたのは入院していた3週間の間に歩かなかったのが、直接の原因だと医師は言う。

だからこそ、歩きなさいというのが医師の論理である。

それはそうだが、「食べるな、歩け」では、馬力が出ないのは当たり前だろう。

散髪の仕事は、一回の仕事が終わるたびに必ず座って休まないと、体がもたないらしい。

しかし、仕事をすることが同時に運動にもなるので、部屋にこもるよりは体にははるかにいいとのこと。

手術前から体重は10㎏も落ちたらしいが、力なく笑った顔には、以前と変わらぬ充実感があふれていた。

72歳というのは、まだまだ現役で活躍できるのだ。

店長にとっての職場は、単なる報酬を得るための場所ではなく、自分の人生そのものなのではないか。

心に響く話であった。


20190619.jpg
店長も、誰かに話を聞いてもらいたかったようだ

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コメント
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by: - * 2019/06/19 21:50 * [ 編集] | page top↑
こんばんは♪

私が行っている美容室はもう30年以上です。
それに美容師さんは前職が同じ銀行の行員だったので、しゃべりまくりです。
いつも週刊誌が読むことができません^^;
by: きっちゃん♪ * 2019/06/19 22:39 * URL [ 編集] | page top↑
きっちゃん♪へ
おはようございます。

私の妻など、頻繁に美容院を変えています。
自分の好みに合ったところでないと、納得がいかないようです。
ですから「30年以上」も同じ美容師さんのところに行っていると聞くと、ひたすら驚いてしまいます。
ご縁のあった人だけに、話に花が咲くのは自然なことかもしれませんね。
それはそれで大きな楽しみだから、いいことではありませんか。
by: 声なき声 * 2019/06/20 04:52 * URL [ 編集] | page top↑
おはようございます
私は、知らない人とのおしゃべりも
苦手ではありませんので
20年も通ってる美容院での世間話は
良くする方です。

話題は、時事問題からつまらない笑い話まで
かなり広範囲にわたりますが、
私個人の事 人の話は、ほとんどしません。

これだけ長く通っているのに
私の仕事の事も、家の場所も知らないと思います。
メンバーズカードを作る時に
住所は書いたと思いますが・・

それほど、個人的な話をしないからです。

今日 美容院へ行く予定ですが
多分 地震話で 盛り上がるでしょう(笑)

その店長さん
食べないで運動しろは、かなり大変な事だと思います。
人間の食に対する欲望は大きなもので、
ストレスが溜まると 食べる事で満たすのも
人間の本能ですから。

それでも、長く小食で過ごすと
胃も小さくなり 少しでも満腹感も感じる事が
出来るようになるそうですから 辛抱の時でしょう。
by: ヨンヨン * 2019/06/20 05:33 * URL [ 編集] | page top↑
ヨンヨンさんへ
おはようございます。

私の場合、おしゃべりそのものが苦手だからか、親近感を持った人にはプライベートな部分の話題を持ちかけることが通例です。
住んでいる家のことやその周辺のことなど、個人情報を洗いざらいぶちまけてしまうところがあります。
セキュリティがなっていないようです(汗)。

記事での散髪屋さんでの会話も、最初は拳銃強奪事件と新潟地震に焦点が当たっていました。
それが”体力”のことから、店長の闘病談に発展していったのです。
”床屋談義”と言う言葉がありますが、社会の動きをちゃんととらえているような気がいたします。

禁酒禁煙も指示されたとのことです。
くだんの店長はお酒は飲まないのですが、喫煙はずっと続けていて、1日10本程度であったのですが、それも完全にやめているそうです。
もちろん、健康には好ましいことですが、我慢していることのフラストレーションもあるのだろうと思います。

私は満腹感を得るまで食べないと気が済まないタイプですが、最近は夕食は少ない目にして調整を図っております。
食事を伴う会合が夜にあると、実に悩ましいです。
わかっているのですから、自分で量のコントロールをすればいいだけの話ですが、それができないのです(涙)。
by: 声なき声 * 2019/06/20 05:51 * URL [ 編集] | page top↑
心臓大手術を施してなお床屋の仕事をするとか、まさに驚嘆。
俺ならネットでくだをまいているかと。
我が身を思うにセルフカットでバリカンいれておしまいなんですが、こういう情報収集、人生体験ができるという意味では散髪代金に含まれているのかもしれませんね。
むかーし読んだ自己啓発本のひとつにタクシーでも理容師でも話をしてはひたすらメモをとる男の話を読んだことがあります。ネタ集めに必死なところを見ると作家なのかも。
どこに真実が転がっているかわからんし、心臓術後の話を聞いて俺はまだましだとか思えるだけでもラッキーとか思えたのでした。俺は血糖値対策してたころ酒、菓子とか全部とめられたのを思い出しましたよ。
by: てかと * 2019/06/20 13:41 * URL [ 編集] | page top↑
てかとさんへ
髪を刈ってもらっている間というのは、人間心理として解放感に包まれるのかもしれません。
普段なら口に出さないような話も、つい散髪屋さんではしゃべってしまうこともあるようです。
昔にそのお店で働いていた職人さんは、某作家の散髪をしているとき、警察が暴力団摘発に入る日時を聞き出したと語っていました。
その作家は極道の世界を扱った作品を手がけており、警察とも密接な関係にあったそうです。
ニュースを見ていたら、実際にその時間に警察が事務所に入っていく報道があったので、彼も驚いたそうです。
今では考えられないことですが、30年以上も前には、「ここだけの話」というのが通用していいたのかもしれません。
「作家」というワードに反応して思い出した話です。

店長にしてみれば、口にこそ出して語りませんでしたが、職場でハサミを持つことは生きがいの一つなのかもしれません。
体力がなくなっても、また、食事のフラストレーションがあっても、自分の仕事ができるのは心の支えになっているのだと、教えられたような気がします。
セルフカッティングでは得ることのできない体験でした。
by: 声なき声 * 2019/06/20 13:56 * URL [ 編集] | page top↑
 理髪店に限らず、ある程度空調の効いた空間で、長い間仕事をされていた方は、汗をかくとかの体幹機能が落ちているとか・・・。
そのため、チョット運動したり、屋外に出ただけでも体調を崩す方がおられる様です。
by: nekochan59 * 2019/06/20 17:34 * URL [ 編集] | page top↑
nekochan59さんへ
言われてみれば、私も職業生活の最後の10年間は、ほぼエアコン管理の部屋の中におりました。
夏もあまり汗をかくことなく過ごしてきましたので、意味不明な体調不良にもよく襲われたものです。
2年前に退職してからは、夏のエアコンはなく、また日課の散歩を続けたおかげで、体の具合は非常に良好です。
エアコンは過度に使い過ぎると、人間が持っていた自然の調整能力を麻痺させてしまうようです。
このことがほとんど社会的に問題視されないのが、少しばかり不思議です。
by: 声なき声 * 2019/06/20 17:47 * URL [ 編集] | page top↑

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昭和27年に生まれ、平成29年に職業生活をリタイヤ。 現在、北摂のマンションに在住。   

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