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5月12日(日)

母の日ともなると、いろんなところでサトウハチローの手による母にちなんでの詩を見かける。

子供の目で母を見詰め、母を歌い上げている美しい詩は、人々の心に優しく響いてくる。

もっとも、彼自身は悪行の限りを尽くし、数え切れぬほど警察のお世話になったり勘当されたりと、親不孝そのものの生き方をしてきたから、詩作での表現はあくまでも仕事の上での仮面であったことになる。

そんな彼にしたって、異母妹である佐藤愛子さんの『血脈』を読むと、実母の訃報に接して大粒の涙をこぼしたとあるから、もしこれが事実だとしたら、母への思いも幾分かは持ち合わせていたと言えるかもしれない。

もう一つ、サトウハチローを語るにあたって避けて通ることのできないものが薬物のことである。

彼は覚せい剤のヒロポンを愛用していたことが知られている。

あれだけの膨大な詩や小説を生み出した原動力には、薬がもたらしたパワーもあったのかもしれない。

覚せい剤は、終戦後、軍部から民間に流出し、疲労回復やうつ病治療などに寄与していたものの、副作用がひど過ぎるというので昭和26年には禁止になった。

だから、法律で禁止されていなかった期間にヒロポンを使っていたというのであれば、違法でも何でもない。

ただ、彼の場合は先ほどの『血脈』を読むと、禁止になってからもこっそりと使用していたフシがある。

昨今は芸能界での薬物使用問題が表面化していて、先日もコカインを使っていたとして、その人の関与している作品がすべて公開にストップがかかりそうなムードになっている。

なら、サトウハチローの作品にしたって、何の制限もなく一般の人の目に触れる形で語られるのはまずいのではないか、という気もしてくる。

視点を変えて言えば、覚せい剤やコカインは現行法には反しているものの、その人のかかわっている作品のすべてをご法度にするのは、あまりに行き過ぎではないか、私は考えている。

飛躍した話かもしれないが、法律の適用を過剰に厳しく求めると、芸術も文化も花咲かないし、アーティストの気持ちが萎縮してしまうと思う。

母の寛容な心でもって、実害のない部分は受け入れていく度量が必要ではないか。


20190512.jpg
スーパーは『母の日』商戦でにぎわっていた
20 : 15 : 13 | 日記 | トラックバック(0) | コメント(8) | page top↑
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コメント
こんばんは♪

我が家は母の日は何もしなかったです。
子供の頃はしていましたが…
最後にプレゼントを送ったのが亡くなった年です。

作品には罪がないと思います。
by: きっちゃん♪ * 2019/05/12 22:37 * URL [ 編集] | page top↑
きっちゃん♪へ
おはようございます。

小学生の時は、母の日の前の土曜日の終業時に、担任の先生からカーネーションを手渡され、
「明日、お母さんにお礼を言いながら渡しなさい」
というのがならわしでした。
もちろん、母のない子には白いカーネーションでした。
今では、個人情報の保護が厳しいですので、そういったことをやってるかどうかはわかりません。
 
芸能人の薬物の問題でも、以前は現在のように厳しくは責任追及はなかったと思います。
少なくとも、当事者が端役でちょこっと出ているだけでも放映や公開が禁止されるなんて、逆に人権侵害ではないでしょうか。
by: 声なき声 * 2019/05/13 05:06 * URL [ 編集] | page top↑
おはようございます
サトウハチローについては
今のように 報道される事もなく
作品だけが称賛されていましたので、
問題も起こらなかったのでしょう。

今さら知った所で、過去の人

何かを作り上げる人は、
気分が高揚しないと 出来ないのだろうとは
理解出来ます。
しかし、薬物に頼って出来上がった作品は
本当にその人の 心から湧き上がった物だろうか
そんな疑問も湧いてきます。

薬物に頼らず 感動を呼ぶ作品を作って居る人も
たくさん居ますから。

芸能界やスポーツ界での薬物使用の場合は、
法律違反ですから、厳しい措置が取られても仕方ないかな。
しかし、共演者も居る事ですから
みんなへの迷惑も考えないとなりませんね。
by: ヨンヨン * 2019/05/13 05:30 * URL [ 編集] | page top↑
ヨンヨンさんへ
おはようございます。

広い意味での芸術家と言われる立場の人は、薬物で気持ちを高めて、普段では見えない世界を作品として表現する手法をとることがよくあると聞いたことがあります。
それが「心から湧き上がった物」であるかどうかは議論があるかとは私も思いますが、出来上がった作品を見ることで胸を打たれることは少なくありません。
大げさに言えば魂の喜びといったところでしょう。
サトウハチローの母の詩などは、作為を感じさせない純粋さが漂っていて、酔ってしまう人は少なくないことと思います。
もっとも、彼自身はおそらくは父の文才をDNAで継いでいて、心を揺さぶる作品を生み出したのではないかと思っています。
毎年、雛祭りのシーズンともなると論議される『うれしいひままつり』ですが、あれだけ事実関係の間違いがある歌詞がいまだに歌われているのは、メロディーの美しさもさることながら、彼の詩の秀逸さがあるからだと思っています。

暴力団が資金獲得のために薬物を利用している事実があるのですから、この一事をとっても、覚せい剤の使用については厳格に望むべきです。
タバコの有害さがいろいろなところで指摘されていますが、反社会性という点では覚せい剤の非ではありません。
クルマの運転にあたってのアルコール摂取は厳しく禁じられているのと同じように、覚せい剤を使用している人間にも社会的な制裁が加えられるのは当然です。
ただし、その人が関与している作品にまで責任を求めることはありません。
「共演者」にしてみれば、全く非難される筋合いはないところです。
by: 声なき声 * 2019/05/13 05:52 * URL [ 編集] | page top↑
時事ネタでリアルタイム配信されているものは社会に与える衝撃はあるから仕方ないと俺は思っています。
精神論で恐縮至極ですが、薬に負けない強い心こそ大事だとか思っちゃうわけ。すなわち薬に負けた作品が社会に影響を及ぼすのは悪である、と。
そのサトウ何某というひとを俺は寡聞にして知らないんですが、その人物がすでに没しているとか著作権もないような昭和の文豪みたいなカテゴリだったらうるさく言われないかも。死んでるんだったら、文句つけようがないし。生きている間はひとは試練を受けるもの、そんなもんだと思います、はい。
by: てかと * 2019/05/13 09:39 * URL [ 編集] | page top↑
てかとさんへ
薬物依存症は、「強い心」だけでは防止できないメカニズムになっているようです。
薬物だけに限らず、アルコールやニコチン、ギャンブルなど、およそ依存症と呼ばれるものは人間の意思でもってコントロールできる性質のものではないように聞いています。
戦後、覚せい剤が元気になる薬だというので、ハードスケジュールの人には重宝されたそうです。
作家や芸能人がよく使ったのは、そういった特性があったからでしょう。
いまだに芸能界に薬物を使う人が少なくないのは、そういった慣習的なものもあるのかもしれません。

いま調べてみましたら、サトウハチロー氏はサトウハチローさんは1973年11月13日の死去となっていました。
たしか死後50年で消滅するはずので、まだ著作権は残っている計算になります。
妹の佐藤愛子さんは元気でご活躍ですが、結構、厳しい目で兄のことを見ていたような印象を私は持っています。
by: 声なき声 * 2019/05/13 10:01 * URL [ 編集] | page top↑
難解ではありますが・・
いつもありがとうございます。!
現刑法では問題なく犯罪行為になりますが当時では今と法律の適用の仕方も違っていて文化と法律を分けて考える傾向があったのでは・・太宰も薬をやっていました。作品は認められています。芸能人も多くは薬物汚染で失敗を繰り返しています。文学者は特別扱いもダメだというべきでしょう。
by: 荒野鷹虎 * 2019/05/13 18:15 * URL [ 編集] | page top↑
荒野鷹虎さんへ
こちらこそありがとうございます。

時代によって、法律の運用は変わってきます。
飲酒運転にしても、かつては適切に運転ができれば厳密には取締り対象にはなりませんでした。
お正月や結婚式場での飲酒検問は見かけなかったと記憶しています。
一定のアルコール濃度でもって検挙対象となる内容での法律が施行されてからは、一律、違反とされるようになりました。

かつては、法律と芸術を分けて考える社会的雰囲気があったのかもしれませんが、昨今はそれは通用しないと思います。
by: 声なき声 * 2019/05/13 18:39 * URL [ 編集] | page top↑

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昭和27年に生まれ、平成29年に職業生活をリタイヤ。 現在、北摂のマンションに在住。   

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